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【book_22】ヘミングウェイ 著 「老人と海」: 自然の猛威に挑む老人の死闘を見よ!

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どうも、つんどくです。

自然・大魚・己に対して全身全霊で闘いを挑む老人の姿にはまさしく「死闘」という言葉しか表現のしようがなかった。

キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大カジキマグロがかかった。四日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく・・・・・・。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。(裏表紙より)

 

#1 魅力的、そして躍動感あふれる海の住人たちを表現する

「アグワ・マラ(訳注 スペイン語=毒汁)だ」と老人はつぶやいた、「この淫売女め」(P31 より) 

 私は今まで魚に「この淫売女め」と言ったこともないし、言っている人を見たことがない。なのでこの1行はなかなか衝撃的だった。よくそんなセリフが出てきたなw

この1文の前にその魚の様子が綴られているが、確かに魅力的なのだ。

この作品の中にはカジキマグロ・サメ・トビウオ・シイラなどさまざまな海の住人が登場する。自然の中で生きていく彼らにとって、弱肉強食こそがたったひとつのルールである。その海の中をただよう描写はとても鮮明で細かく、まるで読者が舟から海面をのぞき込んでいる錯覚になりそうなぐらいだった。

#2 魚たちとの闘いとは心理戦?

「さあ!」彼は大声でそう叫ぶと、両手に力をこめて網を引いた。(P38 より)

この文章の前までは、まさしく心理戦のように魚の様子を観察し、じりじりと勝負の時を待ち続けている様子が綴られる。

そしてこの1行こそがお互いの緊迫した空気から一転、闘いの火ぶたが切って落とされたような感覚を思わせる瞬間になっていた。

その後から、手に汗握るような闘いが続き、読者の目を最後まで離してはくれなかった。

このように、老人が大声をあげるシーンが多々あるが、それを合図にするかのように、展開もどんどんと進んでいく。

#3 己との闘いが老人の屈強な精神を表現している

「おれはやつを動かした」と老人は声をあげた、「とうとう動かしたぞ」

  が、またもや老人は気を失いかけた、が、全力をふりしぼるようにして大魚にしがみついている。おれはやつを動かした、今度こそ倒してやるぞ。手よ、どんどん網を引いてくれ。脚よ、しゃんとしろ。頭よ、頼むから最後までしっかりがんばってくれ、いいか。しっかりしていてくれよ。いままでがんばってくれたのだからな。今度こそ、ひっくりかえしてやるぞ。(P83 より)

 何日もの死闘を繰り広げている老人の体力に限界がきているのは明らかだった。

何度も気を失いかけるも決して屈しなかった老人の精神力はとても強い。

本作品には登場する人物がほとんどいなくて、ほとんどが老人の主観を綴っている。

なので読者はその老人に感情移入をしやすく、魚との死闘に没頭しやすくなっている。

自然との闘いの中で、感じる孤独感は老人の精神にもダメージを与えていくが自分自身を鼓舞することで最後まで闘いを貫き通そうとする老人の姿はとても勇ましい。

#4 終盤、老人は大魚めがけてモリを投げつける

P85、大魚との戦いもクライマックスを迎え、老人がモリで渾身の一撃を放つ。

気を失いかけるも、己の信念のみで立ち上がる老人が放つ全身全霊の一投に、私は「いけえええええ!!!!!!」と心の中で叫んでいた。

私は既に老人と同じ舟に乗り、彼のとなりでそう叫んでいたのだ。

この緊迫感と興奮は、ここまで死闘を繰り広げてきた老人の姿を見てきた人にしかわからないので、是非自分の目で読んでいただき、この一投を感じてもらいたい。

 

この後、老人の前に鮫が立ちはだかるが、私はもう哀れとしか言いようがない気持ちになった。鮫にどんどんと食いつかれていく獲物は、次第に哀れな姿になっていきとても悲しという言葉では言い表せられないほどだった。

自然の恐ろしさ、弱肉強食の世界で、いかに人間が小さく、もがきながら闘い続けるのか、そんなことをページ毎に感じられる作品でした。

是非読んでみてほしい1冊となりました。おすすめです。

それではまた次回。

 【今日のひとこと】あざやかな、フラーフラーフラーフラ~ペチーノ!